学童期・思春期の栄養と健康管理
- 学童期・思春期の特徴
- 6歳から小学校に通う11歳までを学童期、10歳~15歳以降を思春期に分類され、6歳~19歳までの時期をまとめて少年期と呼びます。乳児期に次いで成長発達が著しく、体の発達速度はピークに達します。またこの時期は身体活動が活発になるのが特徴で、急速な発育と、活動に応じた各栄養素の需要が多く、人生で最も栄養所要量が多くなる時期です。またこの頃には第二次性徴が現れ、女子では11歳~14歳頃に初潮、乳房の発達、脂肪の蓄積が始まり、男子では12歳~15歳頃から筋肉質となり、生殖ホルモンの分泌が盛んになります。
- 学童期・思春期の栄養障害
- この時期は、朝食抜きや偏食、インスタント食品の多量摂取、スタイルを気にしての過酷なダイエットなどによって、栄養の偏りが目立ち、貧血、ビタミンB1欠乏症、無月経、精神不安定などの障害が引き起こされやすくなります。また食事回数を少なくしたり、まとめ食い、過食などによる肥満が多くなるので、「自分の健康は自分で守る」という姿勢と、「規則正しい食習慣を身につける」ことが最も大切であることを理解させる必要があります。ただし、最も多感な時期なので押し付けや強要することは避けるべきです。
学童期の貧血と肥満
- 学童期の貧血
- 6歳~9歳の成長は緩やかですが、10歳から筋肉や血液量、赤血球が急激に増加するため、多くの鉄が必要になります。欠食や偏食などが原因で鉄の摂取量が不足すると貧血になる場合があり、正常な発育の妨げになってしまいます。特に初潮を迎えた女子は貧血になりやすく、慢性化すると出産などの母性機能に悪影響を及ぼします。
- 学童期の肥満
- 主に偏食と運動不足が原因で学童の肥満が増加傾向にあります。なかには病気による肥満もみられますが、摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスが悪いために太る単純性の肥満が大多数を占めています。学童期の肥満は生活習慣病の原因になるほか、運動機能の未発達により脳の正常な発育が阻害されます。また、自分の姿に強いコンプレックスを抱かせるので、精神面の発達にも影響を及ぼします。
思春期の肥満・拒食症・貧血
- 思春期の肥満
- 思春期を過ぎる頃は、脂肪細胞数増加型と脂肪細胞肥大型の肥満が重なり、重度の肥満になることがあります。しかも、この時期の肥満は成人期につながりやすく、肥満は心疾患や糖尿病などの生活習慣病を誘発する可能性が高くなります。学童期から思春期の肥満は家庭の生活習慣、及び食習慣の影響を強く受けるため、親自身の管理が最大の原因と考えられます。
- 思春期の拒食症
- 平均体重を20%以上下回っている痩せでも、健康に発育している場合は問題ありませんが、極度に食べないことが原因で思春期に急激に体重が減った場合は、拒食症になっている疑いがあります。月経が止まる、便秘になる、肌が青白くなる、体毛が産毛のように細くなる、肝機能障害が起こるなどの症状があるほか、体重が30kg以下になることもあります。重度の拒食症の場合、死亡する危険性もあるので入院が必要になります。
- 思春期の貧血
- 飛躍的に体が発達するこの時期は、血液の需要が増大します。そのため、月経によって大量に血液を失う女子は貧血になりやすくなります。思春期の女子には、血液中の鉄不足から起こる貧血が多く、間違ったダイエットや動物性たんぱく質の摂取不足、鉄の吸収不全などが主な原因として挙げられます。十分なエネルギー摂取をできる食事をして、たんぱく質や鉄をしっかり摂ることが貧血予防につながります。
ローレル指数
ローレル指数は、学童期から思春期の児童、及び生徒の発育状態を知る目安として利用されていものです。健康管理の一環として身長と体重のバランスをチェックしてみましょう。
児童・生徒の栄養所要量
義務教育課程の児童、及び生徒の栄養所要量については、文部科学省「児童又は生徒1人1回当たりの平均栄養所要量の基準」が定められており、各都道府県の学校給食実施に利用されています。一般家庭で利用する際の注意点としては、全国的な平均値をそのまま用いるのではなくて、子供の身体活動強度など状況に応じて柔軟に対応する必要があります。また、厚生労働省「日本人の食事摂取基準」で各栄養素の基準値が設定されていますので参考にしてください。
児童又は生徒1人1回当たりの平均栄養所要量の基準
| 区分 | 栄養量 | |||
|---|---|---|---|---|
| 6歳~7歳 | 8歳~9歳 | 10歳~11歳 | 12歳~14歳 | |
| エネルギー(kcal) | 580 | 650 | 730 | 830 |
| たんぱく質(g) | 21 | 24 | 28 | 32 |
| 脂質(%エネルギー) | 25~30 | |||
| 食塩相当量(g) | 3以下 | 3以下 | 3以下 | 3以下 |
| カルシウム(mg) | 300 | 330 | 350 | 400 |
| 鉄(mg) | 3 | 3 | 3 | 4 |
| ビタミンA(μgRE) | 120 | 130 | 150 | 190 |
| ビタミンB1(mg) | 0.3 | 0.3 | 0.4 | 0.4 |
| ビタミンB2(mg) | 0.3 | 0.4 | 0.4 | 0.5 |
| ビタミンC(mg) | 20 | 20 | 25 | 25 |
| 食物繊維(g) | 5.5 | 6.5 | 7 | 8 |
| マグネシウム(mg)(※1) | 60 | 70 | 80 | 110 |
| 亜鉛(mg)(※1) | 2 | 2 | 2 | 3 |
資料元: 文部科学省「学校給食の栄養所要量の基準」より
この基準は全国的な平均値を示したものです。
μgRE: レチノール当量
(※1)摂取量に配慮するよう指示されているものも表に入れています。
